【会計士が教える!】経理、財務、会計の違いとは?どんな人が向いている?
監修:
お役立ちコラム編集部
この記事は以下のような人におすすめ!
- 経理と財務と会計の違いを知りたい
- 経理と財務と会計の業務内容を知りたい
- 必要な資格や向き不向きも知りたい
ご自身に必要なポイントだけ読めばOKです。それでは早速、解説していきましょう!
※ 記事内容は執筆時点のものです。必要に応じて最新の情報をご確認ください。
目次
経理、財務、会計の違いとは?
まず、経理と財務では、管理するお金が違います。経理は会社が使ったお金を管理する業務です。それに対し、財務は会社がこれから使うお金を管理する業務です。そして会計とは、お金だけでなく会社の全ての資産の出入りを全般的に管理することです。ちなみに、会計業務の一部として経理があります。
経理
経理とは、経営を管理するという意味の言葉で、会社のお金の流れを逐一記録していくのが主な業務になります。会計において必要な資料を作成するために、他部署の報告や書類に不備や不明点があれば連絡を取って適切な処理を行い、経理部内で連携してそれぞれの部署における情報をまとめていきます。
財務
財務は、会社が将来に向けて投資するため、銀行などからお金を集めるのが主な業務です。経営陣と事業計画を練り、それに基づいて融資・出資に向けて段取りを組んでいきます。
会計
会計は、会社の資産・負債の状況や収支を帳簿に記録することが主な業務です。会社側が今後の事業展開の参考資料とするのに加え、株主を中心とした利害関係者に一年間の事業活動の結果を報告するため、帳簿に記録していきます。
経理、財務、会計の業務の違いとは?
経理、財務、会計ではそれぞれ扱うお金や目的が異なるため、当然業務内容にも違いがあります。以下では経理、財務、会計のそれぞれの業務の違いについて解説します。
経理の業務
経理の具体的な業務には、現預金管理・伝票作成・経費精算などがあります。また、それらに加え、「貸借対照表」「損益計算書」「キャッシュ・フロー計算書」といった決算書類の作成も行います。これらのような業務を通じて経営者がそれぞれの経営判断をしていくことから、『経営管理』が経理の正式名称であるといえます。
経理業務の具体例
現金預金管理
会社のお金に動きがあった際、領収書などに基づいてそれを現金出納帳に記録します。そして実際の残高と記録がズレていないか確認します。 現金は手提げ金庫、預金は銀行口座などを確認し、出納帳と合っているかを調べます。もし一致していなければ、記録内容に誤りがなかったか確認する必要があります。
伝票作成
取引により発生したお金の移動を伝票に記録して管理します。金額や取引日、勘定科目、摘要などを記載していきます。 企業の多くが会計システムを用いて電子上で伝票を作成しています。データベースにより自動で入力される項目も多くあり、会計システムを用いた方が起票がよりスムーズに行えます。
経費精算
従業員が会社のために立て替えて支払った分のお金を、会社が従業員に支払います。現金やクレジットカードなどで支払った金額に対して精算処理を行います。経費として処理できるものは、会社の事業に関係のある支出に限られており、それを証明する領収書が確認できることが前提となります。また、会社の事業に関係のない場合であっても、会社の利益に繋がるような場合は経費として認められていますが、例えば接待交際費などは税法で計上できる金額が制限されています。
財務の業務
財務の具体的な業務は、銀行融資や株式発行などでの企業の資金調達・予算管理・投資やM&Aなどによる資金運用や事業計画の作成などがあります。また、財務計画を立案するのも財務の大事な業務の一つです。財務の業務は常に会社の数字を意識しながら行う必要があり、経理部との連携が重要になってきます。
財務業務の具体例
財務戦略立案
財務戦略とは、会社の経営目標を達成するために必要となる資金調達や資産運用の計画のことをいいます。効果的な財務戦略を立て、企業の価値向上のために経営の健全化を図るのは財務の重要な仕事です。財務面に問題がある企業は価値が低くなり、それに伴い対外的な信用も下落します。その結果、銀行からの融資が受けられなかったりするなど資金調達が難しくなってしまう可能性が高くなります。そういった事態にならないよう財務は、財務諸表などの決算書のデータを細かく分析し、効果的な財務戦略を立案・実行していく必要があるのです。
予算管理
各部署に割り当てられた予算が適切に使われているかを管理するのも財務の重要な役割です。当然、途中で資金が足りなくなれば予定していた事業が行えなくなるといった問題が起こり、当初の計画から大幅に軌道修正する必要が出てきてしまいます。さらに、資金不足により借入金などの返済ができなくなれば、会社の信用が無くなるだけでなく、最悪の場合倒産してしまいます。このような問題を防ぐために、財務はあらかじめ予算管理をしっかりと行い、資金が足りなくなる可能性があれば銀行や投資会社などから資金を調達する必要があります。
資金調達
新規事業を始める際や運転資金を補填する際、外部から必要な資金を調達するのも財務の役割です。具体的な調達方法は、銀行からの借入や株式・社債の発行などです。ただしどちらも会社の社会的信用が低いと行えない可能性があります。必要なときに融資が受けられるよう、常日頃から銀行や投資家と良好な関係を築いておくのも財務の重要な役目です。
会計の業務
会計の具体的な業務は、日々の資産の管理から利害関係社へのディスクロージャー(情報開示)までといったように、対内的なものから対外的なものまで多岐に渡ります。また、経理や財務と違って会計部のような部署は存在しないため、やや特殊な分野といえるかもしれません。
会計業務とは、お金の出入りを帳簿に記して決算を行うなど、一連の記録をまとめる業務のことをいいます。帳簿に記入することは「仕訳」といい、決算では財務諸表の作成のために仕訳の集計し、組替を行います。ここでいう「帳簿」は、全ての会社が作成しなければならない仕訳帳や総勘定元帳といった「主要簿」と、会社が任意で作成する現金出納帳や得意先元帳などの「補助簿」のことを指します。
また、会計業務は会社が、義務で行う業務と、任意で行っている業務とに分けられます。義務として行う業務は一般的に「財務会計」といわれます。法人税などの計算や決算書の開示は法律や制度により義務付けられているため、ほとんどの会社は会計業務を行う必要があります。加えて、財務会計には「会計基準」といったようなルールがあり、これに則って帳簿及び決算書を作っていきます。
一方、任意で行う業務は「管理会計」といわれています。「自社の経営を管理するための会計業務」という意味です。会社の業種や規模によって管理方法が異なるためルールはありません。また、お金の出入りだけでなく労働時間など、様々な数値を記録する場合もあります。
会計業務の具体例
外部への開示
会計業務によって作られる決算書と呼ばれる財務諸表を社外へ開示することをいいます。株主や取引先、投資家たちは、その会社の財産はどのぐらいあるのか、どれだけの利益が出ているのかといった情報を、決算書を通して確認することができます。決算書の開示に関してはほとんどの場合、会社法や金融商品取引法、その他の法律によって義務付けられています。
税金計算
主に法人税や法人住民税、事業税の計算のことをいいます。これらの税金を正確に計算するには、日々の仕入や売上などを記録した帳簿や決算書から利益を算出する必要があります。尚、ほぼすべての会社に納税の義務があります。
内部の開示
会計業務によって記録した情報を経営管理に活用することをいいます。どういった経営管理を行うかは会社によって異なるため、これを義務化している法律や制度はありません。
経理、財務、会計で必要なスキルとは?
経理に欠かせない資格として簿記がイメージされがちですが、資格がなくても経理の知識があれば業務をこなせますし、決算書類の作成も行うことができます。
財務の業務は対外的な説得力も必要とされますので、ある程度の専門的な財務の知識を備えておくことが重要です。
会計に携わる場合、会社員として勤める限りは公認会計士・税理士ほどの知識は求められません。そういった資格以上に、会社の事情にどれだけ精通しているかの方が必要となってきます。
経理業務で必要なスキル
経理では、作成した財務諸表から経営判断に必要なデータを抽出して分かりやすく資料にまとめることが大事です。そのためにはWord、Excel、 PowerPointなどを人並みに操作できるだけでなく、使いこなせるといいでしょう。加えて、作った資料が見やすく、資料から読み取れる課題点をさらに分かりやすく伝え、予見や根拠も含めてどんな施策を打つべきかを端的に提案するというプレゼンテーションの技術も必要です。また、それには、スピーチ力が大変重要になってきます。
そして、経理は社内のさまざまな部署と関わります。請求書発行にかかわる納品の確認や経費の申請に関する折衝など、柔軟で人当たりがよく、且つ締めるところは締める、といった適切なコミュニケーション能力が要求されます。コミュニケーションスキルは自らの業務を円滑にし、ひいては部署全体の業務を円滑にするために欠かせないものといえるでしょう。
財務業務で必要なスキル
資金の調達や管理、運用をする財務の業務は、様々な人と連携して進めていくため、コミュニケーション能力の高さが要求されます。資金調達をする際は銀行などから借入をしなければならないため、金融機関とのパイプを作っていく必要があります。資金を運用していく中では、納得がいくように各部署に説明し、実行していく力が必要です。また、簿記や税法、監査、ファイナンスといった幅広い知識や経験も欠かせません。
会計業務で必要なスキル
会計の業務を行う場合、基本的な仕訳ができることが要求され、簿記3級程度の知識が必要といえます。さらに、仕訳は会計ソフトや表計算ソフトなどで入力を行うことがほとんどのため、PC操作の技術も重要です。
経理、財務、会計でおすすめの資格とは?
企業は、営利活動を行う以上、お金や利益の計算はなくてはならないものです。そのため数字や会計に強い人は企業にとって魅力的であり、数字や会計についての能力を高めることは個人の市場価値を高めることにつながります。
経理や財務・会計系の業務では、組織のお金を扱うという性質上、制度や実務に関する知識、専門性が相当量必要とされ、それを証明するための資格や検定が多数用意されています。経済・経営系の学部に在籍する学生の方たちの多くも、何らかの資格取得を目指しているのではないでしょうか。
以下では、財務・会計系の業種の方、経済・経営系の学部に在学中の方におすすめの資格・検定を紹介します。
経理におすすめの資格
経理資格の勉強を始めるときに第一の選択肢となるのが日商簿記検定。認知度・応用度ともに高いものとなっています。
ただし、日商簿記以外にも数多くの資格や検定があります。就職や転職時にアピールしたい場合には、志望する企業や業界のニーズに合ったものを選ぶと良いでしょう。また、PCでWordやExcelを使って業務を行うことが主なので、マイクロソフト オフィス スペシャリスト(MOS)を取得すれば、企業の戦力としてより評価されやすくなります。
日商簿記検定
日商簿記検定は、日本商工会議所・各地商工会議所が行っている検定試験です。
1級・2級・3級・初級の4つの階級があり、合格した際に証明できる知識の内容はそれぞれで異なります。例えば1級の場合は「会計学のスペシャリスト」としての証明になるので、公認会計士や税理士などの国家資格を取得する足掛かりとなるでしょう。2級であれば「商業簿記・工業簿記(原価計算を含む)において、極めて高度な知識を習得している」ことを証明できます。
一般的に、転職において日商簿記検定の資格取得が評価されるのは2級以上といわれています。そのため、日商簿記検定に挑むならまずは2級の取得を目指してみてもいいかもしれません。初級、3級、2級と段階を踏む必要はないので、頑張り次第では一発で希望の資格を取得できる可能性があります。
公認会計士試験
公認会計士試験は、公認会計士・監査審査会が行っている国家試験です。
1級・2級といった階級はなく、「短答式試験」と「論文式試験」を受験し基準をクリアすることで合格証書が発行されます。合格すれば会計・監査に精通した人材として評価を得られ、転職を有利に進められたり、後に独立して開業を目指したりすることも可能になります。また、「短答式試験」のみ合格でも履歴書に記載しておくと転職のアピール材料になります。
非常に難易度の高い資格であるため、相応の知識・スキルを持っていることが証明でき、企業からも重用されることでしょう。公認会計士試験は、医師・弁護士と並ぶ3大国家資格のひとつです。試験の難易度はとても高く、合格するために要する勉強時間は3,000時間から5000時間ともいわれます。独学ではやらず専門学校などで知識を身に付けて試験にチャレンジするとよいでしょう。
税理士試験
税理士試験は、国税庁が行ている国家試験です。
試験は会計学に属する2科目と、税法に属する7科目中受験者が選ぶ3科目の計5科目で行われます。合格基準はどの科目も満点の60%です。税理士試験は科目合格制を採用しており、一度に全科目を受験する必要はありません。1科目ずつ受験していってもよく、5科目に達したときに税理士試験の合格となります。
転職においては、科目合格のみでも評価されます。特に「簿記論」「財務諸表論」「法人税法」といった科目は企業の評価が高いものとなります。これらの科目に合格していれば、経理として活躍できる知識とスキルがあるといえるでしょう。
税理士試験は、税金を扱うスペシャリストである税理士としての仕事を行うことのできる資格です。税務書類の作成の代理や納税の代理などは、税理士資格がないと行えないため、税理士の資格は専門性の高い知識・スキルを持っている証明となります。そのため試験はとても難易度が高く、5科目の最終的な合格率は1割ほどでしょう。資格学校や専門的な予備校で計画的に勉強していくことがおすすめです。
BATIC(国際会計検定)
BATIC(国際会計検定)は、東京商工会議所が行っている英語を用いての会計処理や国際的な会計基準の理解度を計るための検定試験です。
試験は英文で実施され、選択式問題と記述式問題の2種類で構成されています。1000点満点で、点数によって取得レベルや認定期間が決まってきます。グローバル企業で働きたいという方は取得しておくとよいでしょう。
USCPAの試験科目やIFRSに関する知識とも重なる部分があります。BATICで高い点数を取っていれば、英語での経理業務の実務経験がなくてもグローバル企業へ転職できる可能性も十分にあります。BATICは点数によってレベルが決まります。難易度としては、日商簿記2級と1級の中間くらいのレベルです。ただし英語で出題されるため、英検準1級かTOEIC750点レベルの英語力は必要となるでしょう。独学でも十分合格できますが、より高いレベルを目指すには、通信講座や体系立った学習方法で勉強することがおすすめです。
経理・財務スキル検定
経理・財務スキル検定(FASS検定)は、日本CFO協会が行っている検定試験です。
経理・財務においての⼈材育成事業の一つとして、2005年度下期より日本CFO協会によって開始されました。前述した日商簿記検定のように階級ごとの受験で合否が出るものではなく、検定試験の結果がレベルA〜Eまでの5段階で評価されます。例えばレベルAと判定された場合、「経理業務において必要な実務的知識・技術を習得しており、経理・財務の業務を遂行できる」ことが証明されます。
経理・財務スキル検定の検定試験は、資産・決算・税務・資金の4分野で構成されています。日商簿記検定に比べ広範囲且つより実務的なため、合格するには資格取得に対する強固な意志と相応の努力を要します。大企業を中心に経理・財務スキル検定に対する評価は高まってきているため、高レベルと評価されれば転職を有利に進められる可能性も大いにあります。
給与計算実務能力検定
給与計算実務能力検定は、内閣府認可 一般財団法人 職業技能振興会と、一般社団法人 実務能力開発支援協会が行っている検定試験です。
1・2級の2階級があり、1級に合格すると「年末調整を含む、給与計算に関する全ての業務に着手できる他、税務や労働法についても理解している」ことを証明できます。また、2級に合格すると「労務コンプライアンスについて正確に理解し、且つ基本的な給与計算および明細の作成ができる」ことが証明できるでしょう。
ただし、給与計算や給与支払いの業務が経理の担当ではない企業も多いです。そのため、応募したい求人の業務を行う上で給与計算実務能力検定が重要であるかどうか確認しておいた方が無難でしょう。給与計算実務能力検定に合格するために要する勉強時間は、1級が50~60時間程度(2級の範囲を理解できている前提)、2級が40~50時間程度といわれています。試験問題は公式テキストに基づいて出題されるため、しっかりと対策すれば合格も難しくないはずです。
ファイナンシャルプランニング技能検定
マイクロソフトオフィススペシャリスト(MOS)は、マイクロソフトが公式に発表しているWordやExcelなどのマイクロソフト・オフィス製品の使用スキルを客観的に証明できる資格です。
マイクロソフトオフィススペシャリストが活きる場所は何といっても会社であるといえます。例えば一般事務として勤めている場合、会議の議事録などを作成することも多いはず。その際、WordやExcelを扱えると作業効率が一気に上がるでしょう。営業職として勤めている場合でも、取引先に自社製品を売り込む際魅力的なプレゼン資料が欠かせません。そんな時PowerPointを使いこなせれば、大いに活躍できるでしょう。このように、働く上でマイクロソフトオフィススペシャリストで試される能力が活きる場面は数多くあります。自身のPCスキルを客観的に証明できるマイクロソフトオフィススペシャリストはとても有用です。
マイクロソフトオフィススペシャリストは、一般企業における資料作成業務などの流れに沿った形式で出題されるため、会社で活躍したい時に有利な能力が自然と身に付きます。企業にとってマイクロソフトオフィススペシャリストを保持している人材は即戦力ですし、就職・転職時にはとても重要なアピール材料となるでしょう。マイクロソフトオフィススペシャリストはマイクロソフトが公式に発表し、世界的に行われている資格試験であるため、取得できた際は世界中で通用することでしょう。
文書情報管理士検定試験
文書情報管理士検定試験は、主に企業で扱う紙媒体の文書(帳票類、伝票類、ビジネス文書、技術資料、図面など)を電子機器でデジタル化し、保管及び閲覧できるようにする技術や知識が問われる資格です。JIIMA(公益社団法人日本文書情報マネジメント協会)によって行われる民間の検定試験により認定される資格で、20年ほどの歴史があります。累計14,000人以上の取得者がおり、その数は年々増加傾向にあります。
働き方改革によりペーパーレス化が推進される昨今、紙媒体資料のデジタル化は企業において重要度の高い取り組みであり、推進するにはマイクロフィルムの活用やスキャナ保存、電子ファイルの保管方法の知識が必要とされます。また、デジタルでの保管に問題なく移行するためには、文書そのものの知識や文書の作成から破棄までの過程(文書ライフサイクル)といった文書管理・コンテンツ管理に関する法的知識も必要です。文書情報管理士は、こういった文書のデジタル保管に関する一連の知識を備えたエキスパートといえます。
財務におすすめの資格
財務の業務は常に会社の数字を気にしながらするものであり、経理部との連携が大切です。また、財務業務は外部に向けた説得力も要するので、ある程度の専門的な知識が必要になってきます。
業務に繋がる資格として、日商簿記検定、公認会計士、税理士、ファイナンシャルプランニング技能士などが挙げられます。
日商簿記検定
日商簿記検定は経理・会計資格で最も知名度が高いです。簿記は企業が経済活動を行っていく上で必要不可欠な能力といえます。簿記検定は「日々の取引を記録し、仕訳などを通じて貸借対照表や損益計算書といった財務諸表を作成すること」を主な目的としており、会計の基本的な知識を修得することができます。
公認会計士試験
会計系資格の最高峰であり、日本三大国家資格の1つが、公認会計士です。業務の主なものとして、独占業務である「財務諸表監査」があります。その他、上場案件やM&A、経営戦略の立案、組織再編などについて支援するコンサルティングなどを行うこともあります。
税理士試験
税理士は公認会計士と同様に、会計系の最難関資格として名高い資格です。税理士とは、その名の通り税務に関する専門家であり、税務代理や税務相談、税務書類の作成などを独占業務として行います。公認会計士が企業の「監査業務」を主体としているのに対し、 税理士は申告書の作成や税務相談など「税金」に特化しているということが主な違いです。
BATIC(国際会計検定)
東京商工会議所が行っている英語を用いての会計処理や国際的な会計基準の理解度を計るための検定試験であり、試験問題は英文で出題されます。グローバル企業で働きたいという方は取得しておいて損はないでしょう。また、アメリカの公認会計士資格であるUSCPAとも重複する部分があり、USCPAの前段階として勉強してみるのもよいかもしれません。
ファイナンシャルプランニング技能検定
資産形成やライフプランについてアドバイスをするための知識を養うための資格です。金融、保険、税金、不動産などの幅広い知識を豊富に得るため、財務で活かせる資格といえるでしょう。
会計におすすめの資格
会計事務所などを基準にすると会計に関わる上で有利な資格は公認会計士・税理士ですが、一会社員として勤める限りはそこまでの知識は要求されません。
資格以上に、会社の事情にどれだけ通じているかが問われるでしょう。会計全体を把握する目的で資格を得たいなら、簿記検定などを取得し会計帳簿の構造を学ぶのがよいでしょう。
日商簿記検定
3種類ある簿記検定の中で最も有名なのが日商簿記検定です。初級・3級・2級・1級があり、3級・2級試験は年3回行われています。初級は入門レベルの試験で、インターネット受験が可能です。就職・転職のために簿記資格を得たい方には、3級や2級からの受験がおすすめです。
公認会計士試験
公認会計士になるには、公認会計士の国家試験を合格・取得する必要があります。受験資格の制限は特にありませんが、公認会計士試験は非常に難しいことで有名です。試験対策のために、2~4年を費やして学習していくことが必要になってきます。
税理士試験
税理士になるには、税理士試験に合格して資格を取得するのが一般的です。ただし、税理士試験を受けるためには、学歴・職歴・資格などいずれかの受験資格をクリアする必要があります。試験は、会計学に関する2科目と、税法に関するものを3科目選択します。
BATIC(国際会計検定)
日本企業が海外に進出する際には、国際会計基準と日本もしくは他国の会計基準の差を組み替える必要が出てきます。BATICは、このようなグローバルに活躍するビジネスシーンに必要不可欠な英語力と国際会計スキルを養成するために作られた資格です。
ファイナンシャルプランニング技能検定
ファイナンシャルプランニング技能検定には、1級・2級・3級の区別があり、学科と実技試験があります。ファイナンシャルプランニング技能士は名称独占資格ですので、資格を持たない者が資格保持を名乗ることはできませんが、業務独占資格ではないので、民間資格のAFP・CFPを取得した者がファイナンシャルプランナーを名乗ることは可能です。民間資格のAFP・CFPの取得後は、有効期限があったり継続教育制度や年会費などの費用が必要だったりという点で、国家資格のファイナンシャルプランニング技能士とは異なります。
経理、財務、会計に向いている人とは?
経理に向いている人の特徴として、まず計算などの数字に抵抗感がない人、そして協調性があるという点です。経理という仕事が毎日のように数字と向き合うものである以上、計算が苦手であっては務まりません。また、部門内で業務を分担する場合がほとんどなので協調性も大変重要です。加えて、PC操作が得意な人も経理向きといえますし、単純業務の繰り返しが苦痛ではない人も同様に経理向きであるといえます。
財務に向いている人の特徴として、まず意欲的に動ける人であること、そして社交的であるということです。財務の仕事は、問題解決に向けて努力を積み重ねていくことが大切であり、そのためには受け身であってはいけません。また、仕事の進捗が一人ではなかなか思い通りにならない場合もあります。資金調達のため銀行をはじめとする各方面の人たちとの折衝も担うため、社交的であることも大切です。
会計に向いている人の特徴として、まず経営数字に対して興味があること、そして、会計帳簿から経営課題を見い出すなどの能力があるということなどです。基本的にはルーティンワークが主ですが、会計帳簿から見えてくる課題を経営側に提案するのは、とてもやりがいのある仕事であるといえます。
経理の業務に向いている人とは?
数字に強い人は経理に向いているといえるでしょう。数字に関心が強いことで円滑に業務を進めることができます。計算が早い人や、細かな数字に抵抗感がない人も経理に向いているといえます。
また、経理の仕事は地道な作業です。コツコツ仕事に取り組むことができる人は適性があるといえるでしょう。細かい作業が好きな人も経理向きです。
他にも、細かい気配りのできるコミュニケーション能力の高い人も経理に向いています。経理の仕事は他部門の仕事と関わっています。数字が合わないなどの事態が発生した際、信頼関係が築けていると気になることを他部署に気軽に聞くことができ、仕事をスムーズに進められます。また社内だけではなく社外とのやり取りもあることも、コミュニケーション能力が高い人に適性があることの理由のひとつです。
財務の業務に向いている人とは?
数字に強いことはもちろん、判断力や情報分析力のある人も財務に向いています。膨大な量の数値データと向き合うことが、企業の経営状態や業務利益を見極めるために必要となるからです。
財務業務は主にキャッシュフロー表で企業の資金を管理するので管理能力の高さや、財務表上の細かい数字の確認作業を抵抗なく行える几帳面さも、財務に向いている人の特徴といえます。
さらに財務は、社内では経営陣へのプレゼンや企画書の提出、社外では金融機関への融資の交渉など、社内外問わず人と接する機会が多くあるため、コミュニケーション能力が高く円滑に対話ができる人も適性があるといえます。
会計の業務に向いている人とは?
会計の業務は、やはり数字が好きな人に適性があるといえます。会計職は一日中数字と向き合う仕事です。数字が苦手な人は苦痛になってしまうかもしれません。
また、広い視野を持って仕事ができる人も会計向きでしょう。膨大な数字やデータから、経営上どのような課題があり、どのような経営改善ができるのかをしっかりと自分で考えられる必要があります。
他にも、時間管理ができ、目標に対して的確な作業を行うという目標管理がしっかりとできる人は会計に向いているといえます。数字に強い人でも、マイペースで作業をしたいというような人は注意が必要です。単純なミスをしない正確性も重要なポイントです。膨大な数字を扱うにあたりミスがあると、結果的に会社の大きな損失に繋がってしまうかもしれません。会計処理は業務的にもルーティーンになりがちで、慣れてくるともちろんミスが増えることもあります。そのため、ルーティーンワークでもミスなく行うという意識の高い人が向いているといえます。また、ずっと会社にカンヅメで黙々とPCに向かって会計データを入力する日もあるため、集中力のある方も会計に向いているといえるでしょう。
会計士による経理、財務、会計に関するワンポイントアドバイス!
どんな業種、どんな規模の会社でも、お金の出入りがあり決算書を作成する必要がある以上、経理、財務、会計業務は必ず行わなければならない業務であるといえます。
そして、記帳や決算書を作るのに、相応の労力やコスト、そして膨大な時間が掛かります。そのためこれらの全てを専門家に丸投げしている方もいらっしゃいます。しかしそもそも、経理や会計の業務のほとんどが一定の事務ルールに則って処理を行っていくルーティーンワークのようなもので構成されています。したがってこのルーティーンワークを合理化し、効率化できれば大幅に労力とコスト、時間を削減できることになります。
これから会社を設立する予定の方、また、会社を設立したての方は、今後どのような経理体制を築いていくかが重要になってきます。経理、財務、会計業務を合理化及び効率化するために有効的な手段として考えられるのが、テクノロジーの活用による業務のシステム化です。これにより、今まで莫大なコストが掛かっていた経理などの業務を大幅にスリム化することが可能になります。また、スピーディーに会計処理等を行うことにより、企業の経営速度の向上にも繋がっていくのです。
まとめ
今回は、
- 経理と財務と会計の違いを知りたい
- 経理と財務と会計の業務内容を知りたい
- 必要な資格や向き不向きも知りたい
といった内容についてご紹介させていただきました。経理、財務、会計は、似ているようで全く違う業務分野です。しかし、あまり大きくない規模の会社だと特に、どこからが経理の業務でどこからが財務の業務なのかといった線引きが曖昧な部分も出てくるかと思います。
SoVaなら、経理、財務、会計だけでなく労務、登記の分野まで網羅的にトータルサポートしております。バックオフィスでお困りの方、ぜひこの機会にSoVaに触れてみてください!