社会保険の保険料はいくら払うべき?社会保険の基礎情報や計算方法を解説!

2022年10月21日
SoVa編集部
監修:監修:山本健太郎 (公認会計士)

この記事は以下のような人におすすめ!

  • そもそも社会保険とは何か知りたい!
  • 社会保険にはどんな種類があるか知りたい!
  • 従業員と事業者が知るべき支払い条件とは何か知りた!
  • 社会保険の保険料の計算方法を知りたい!
  • 社会保険の保険料の納付方法を知りたい!
  • 社会保険料を控除する手段を知りたい!

ご自身に必要なポイントだけ読めばOKです。それでは早速、読んでいきましょう!

※ 記事内容は執筆時点のものです。必要に応じて最新の情報をご確認ください。

社会保険の保険料を計算する前に!そもそも社会保険とは?

社会保険を表す写真

社会保険の保険料について知る以前に「社会保険」とは一体何でしょうか?ここからは社会保険の目的や分類等、社会保険についての前提知識を整理していきます!

社会保険の目的

人々が豊かで安心して暮らすことを目的に、病気や怪我、失業などに社会保険で備えます。国民がお互いに助け合う相互扶助の考えが根幹にあり、多くの人が加入してお金を集め、加入者の有事に備えるように設計されています。

社会保険と社会保障の違い

国の社会保障制度は4つにまとめられています。

  1. 社会保険(病気・ケガ、出産、老齢、障害、失業などの事態を支援)
  2. 公的扶助(生活困窮者に対し、税金による経済援助。生活保護法、災害救助法等)
  3. 社会福祉(経済的支援が必要な者に対し、生活指導、更正指導その他の支援。児童福祉法、老人福祉法、身体障害者福祉法等)
  4. 公衆衛生(広く国民に対しての健康の保持・向上に関する支援。結核予防法、精神保健及び精神障害者福祉法、母体保護法等)

上記のように分類されており、なかでも中心的な存在が社会保険なので、しっかりと理解して正しく使って行きましょう。

社会保険の分類

そもそも社会保険という名前の保険はありません。健康保険をはじめとした、いくつかの公的な保険を総称して社会保険と呼ばれています。その中でも、「狭義の社会保険」と「広義の社会保険」として分けて捉えられることが多く、整理すると以下のようになります。

社会保険料の分類を表す図

狭義の社会保険

狭義の社会保険は、3つの制度を指しており、「健康保険」、「介護保険」、「厚生年金保険」が該当します。通常「社会保険」というと、この狭義の社会保険を指すことが多いでしょう。

広義の社会保険

広義の社会保険は、狭義の社会保険(健康保険、厚生年金保険、介護保険)3つに加えて、労災保険、雇用保険、国民健康保険、国民年金をまとめたものを指します。病気やけが、出産、失業、障害、老齢、死亡などに対して必要な保険給付を行う公的な保険です。

社会保険の保険料を計算する前に!社会保険の種類とは?

社会保険の保険料の種類を表す写真

ここからはそれぞれの保険について詳しく見ていきましょう!

狭義の社会保険

まずは狭義の社会保険を構成する「健康保険」「厚生年金保険」「介護保険」について解説します!

健康保険

「健康保険」は、病気で病院に行った際の医療給付や怪我をしてしまった時の手当金などを支給して、生活を安定させることを目的とした社会保険です。健康保険は、「会社で働く人」と「その家族」の両方に適用されます。怪我や病気は、病院等での医療費の自己負担が3割、保険組合が7割負担となります。健康保険料は会社と従業員(加入者)で折半して負担します。

【会社で働く人本人に対して適用されるケース】
  • 病気や怪我をしたとき
  • 病気や怪我で会社を休み、給料がでないとき
  • 亡くなったとき・出産のため会社を休み、給料がでないとき
  • 出産をしたとき
【その家族に適用されるケース】
  • 病気や怪我をしたとき
  • 亡くなったとき
  • 出産をしたとき

厚生年金保険

厚生年金保険は、「公的年金」のひとつです。

公的年金の分類を表す表

公的年金は、日本国内に住所のあるすべての人に加入が義務づけられており、働き方によって加入する年金が異なります。

厚生年金は、会社ごとに数多くある基金、団体に収めることで将来的に一定額の年金が支給される形になっています。厚生年金保険に加入している人は、厚生年金保険の制度を通じて国民年金に加入する第2号被保険者に分類され、国民年金の給付である「基礎年金」に加えて、「厚生年金」を受けることができます。(いわゆる2階建ての状態)

また、65歳から受け取れる老齢年金や一定の怪我や病気をしたときに受け取れる障害年金、加入中の本人が死亡した場合の遺族年金があります。他の相続や資産とは違い、税金がかからないのが特徴です。

介護保険

介護保険は介護が必要な方に、その費用を給付してくれる保険です。介護保険は、「自立支援」「利用者本位」「社会保険方式」といった3つの考え方のもと、制度が設計されています。

  • 自立支援:単に介護を要する高齢者の身の回りの世話をするということを超えて、高齢者の自立を支援することを理念とする
  • 利用者本位:利用者の選択により、多様な主体から保健医療サービス、福祉サービスを総合的に受けられる制度
  • 社会保険方式:給付と負担の関係が明確な社会保険方式を採用

介護保険制度の被保険者は、「65歳以上の者(第1号被保険者)」「40~64歳の医療保険加入者(第2号被保険者)」の2種類に分けられます。65歳以上の人は、原因を問わず要支援・要介護状態となったときに、40~64歳の方は末期がんや関節リウマチ等の老化による特定の病気が原因で要支援・要介護状態になった場合に、介護保険サービスを受けることができます。

また介護保険では、市区町村の定める介護認定の対象者のみが認定レベルに応じてさまざまな介護サービスを受けることができます。基本的には居宅系、施設系、地域系の3つの各サービスが1割負担で受けることが可能です。※ただし、前年度の所得に応じて、自己負担率が2割あるいは3割になることがあります。

広義の社会保険

広義の社会保険は、狭義の社会保険を構成する「健康保険」「厚生年金保険」「介護保険」に加えて、「労災保険」「雇用保険」「国民健康保険」「国民年金」を入れた7つを呼びます。ここからは「労災保険」「雇用保険」「国民健康保険」「国民年金」ついて解説します!

労災保険

労災保険は労働者の保護を目的とした保険で、労働者が業務中または通勤時の事故や病気によって、負傷または亡くなったときにその労働者と家族を保護することを目的として一定の給付を行う保険のことをいいます。主な給付内容は、以下のとおりです。

療養給付

療養給付とは、労働者が労働災害により傷病を負ったときに、原則、病院で自己負担なく治療を受けられる制度です。療養給付には、治療費、入院費用、看護料など通常療養のために必要なものはすべて含まれます。

休業給付

労働災害に遭い、療養のため休業して賃金をもらえなくなった場合に一定額を保証してくれる制度です。

障害給付

障害給付とは、障害年金と障害一時金からなる給付金です。障害給付は、労働災害によって傷病が治癒した後に後遺症が生じた場合に、障害等級に応じて年金または一時金の支給を受けられる制度です。障害等級が1~7級のときは障害年金としての年金の支給、8~14級のときは障害一時金としての一時金の支給がされます。

遺族給付

遺族給付は、遺族年金と遺族一時金からなる給付金です。労働災害によって労働者が亡くなったときには、労働者が死亡当時に労働者の収入で生計を維持していた遺族に対し、遺族年金が支給されます。ここでいう遺族とは、労働者の死亡当時、その収入によって生計を維持していた配偶者(内縁の者を含む)、子、父母、孫、祖父母及び兄弟姉妹をいいます。遺族年金の対象となるべき遺族がいないときには、その他の遺族に遺族一時金が支給されます。

傷病年金

労働災害により傷病を負い、療養開始後1年6か月を経過しても治癒しないときは、傷病等級に応じて、傷病年金が支給されます。休業給付を受けている方が、1年6か月を経過した時点で、傷病等級第1級から3級に該当するときは、休業給付から傷病年金に切り替わります。他方、傷病等級の認定がないときには、引き続き休業給付が支給されます。

介護給付

傷病年金または障害年金受給権を有する労働者が、現に介護を受けている場合には、介護給付が支給されます。介護給付は、障害の状態として、常時介護または随時介護を受けている状態にあることが要件とされています。

雇用保険

雇用保険とは、労働者が失業したり、会社の都合で雇用の継続ができなくなったりしたときなどに、労働者の生活や雇用の安定を図り、再就職を促進することを目的とした保険です。主な給付内容は、以下のとおりです。

基本手当

基本手当は、雇用保険のなかでも最も代表的な給付で、一般的に「失業手当」と呼ばれているものです。失業した方が失業後の生活の心配をすることなく、新たに仕事を探し、1日でも早く再就職するために支給されるものです。

基本手当の支給を受けることができる日数は、雇用保険の被保険者であった期間や離職の理由などによって決定され、90日から360日の範囲で決められます。会社の倒産や解雇によって離職した場合には、自己都合で退職した方よりも保護の必要性が高いことから、給付日数や支給までの期間が優遇されています。

就職促進給付

就職促進給付とは、早期に再就職してもらうことを目的として支給される給付金で、定められた期間内で就職するなどの一定の条件を満たすことで「再就職手当」、「職業促進定着手当」、「就業手当」の支給を受けることができます。

教育訓練給付

教育訓練給付とは、教育訓練受講に支払った費用の一部が支給される制度です。再就職にあたって、資格を取ろうと考えているときには、非常に有益な制度ですので、利用を検討するとよいでしょう。

雇用継続給付

雇用継続給付とは、「高年齢雇用継続給付」、「育児休業給付」、「介護休業給付」など働くことができない理由があるときに、所得が補償される制度のことをいいます。

国民健康保険

国民健康保険は、自営業者等であって、被用者保険(国や地方公共団体、法人などに雇われる従業員やその扶養家族が加入する健康保険のことを指します。)に加入していない者が加入する医療保険です。保険者は、都道府県と市町村(市町村と特別区[23区])と国民健康保険組合です。被保険者は、市町村または特別区が行う国民健康保険の被保険者と、組合が行う国民健康保険組合の被保険者です。国民健康保険の場合は、健康保険と異なり、被扶養者という区分はありませんので、加入者全員が被保険者となります。

国民年金

基礎年金ともいわれ、国民皆年金制度により、20歳以上60歳未満の人は、すべて加入しなければならない公的年金のことを指します。

一定額の保険料を納めることにより、老齢、障害、死亡によって、その人や家族の生活が脅かされないように保障する社会保障制度の一つです。自分が支払った保険料を将来受給する積立方式ではなく、集めた保険料をその時の年金支給にあてる賦課方式を基本的に採用しています。

国民年金の加入者(被保険者)には、個人で保険料を納付する第1号被保険者(自営業、農林漁業、自由業、学生など)、給料から天引きされる第2号被保険者(厚生年金に加入している会社員、公務員など)、届け出をすれば、個人で納める必要はない第3号被保険者(第2号の配偶者)があります。学生納付特例制度や若年者納付猶予制度などが設けられています。

社会保険の保険料を計算する前に!従業員と事業者が知るべき支払い条件とは?

社会保険の保険料の前に知るべき条件の写真

ここからは「健康保険」「厚生年金保険」「介護保険」「雇用保険」「労災保険」の支払い条件について解説していきます!社会保険の保険料を計算する以前に知っておかなければならない重要事項なのでしっかり確認しておきましょう。

従業員が負担すべき保険と支払い条件

従業員が負担する保険として「健康保険」「厚生年金保険」「介護保険」「雇用保険」があり、まずはそれらの支払い条件を解説していきます!

健康保険の対象要件

対象者は、雇用期間の定めのない正社員です。また、パートタイマーでも下記の要件にあてはまる労働者は対象となります。

  • 1年超の雇用見込み
  • 週所定労働時間が正社員の4分の3以上
  • 1ヵ月の所定労働日数が正社員の4分の3以上

労働時間に関しては、一般的には週20時間以上であれば対象になります。雇用期間については、日雇いの場合は1カ月超、季節的事業に携わる労働者の場合は、4カ月超継続して使用されるのであれば加入対象となります。なお、501人以上の事業所に関しては、下記のパートタイマー労働者(昼間学生は除く)も対象となります。

  • 継続して2か月を超えて雇用される見込み
  • 1週間の所定労働時間20時間以上
  • 月収88,000円以上

法人役員については、代表者も含め対象です。家族従業者(自営業主の家族で、その自営業主の営む事業に従事している者)も対象ですが、自営業者の個人事業主自身は対象にはなりません。75歳以上は後期高齢者医療保険に加入しますので、75歳未満が対象です。

厚生年金保険の対象要件

厚生年金保険の適用事業所に常時雇用されている70歳未満の人は、国籍や性別にかかわらず対象者となります。また、アルバイト・パートなど非正規雇用の従業員でも以下の要件を満たしている場合は被保険者になります。

  1. 1週間の所定労働時間、1カ月の所定労働日数が、一般社員の4分の3以上であること
  2. 以下5つの条件を満たす労働者
  • 週20時間以上勤務
  • 年収106万以上(賃金月額が月8.8万円以上)
  • 1年以上の使用が見込まれる
  • 従業員501人以上の勤務先で働いている
  • 学生でないこと

介護保険の対象要件

介護保険の対象者は2種類にわけられ、第一号被保険者と第二号被保険者のいずれかになります。以下、介護保険対象者となる第一号被保険者と第二号被保険者について説明します。

第一号被保険者

第一号被保険者は65歳以上の方が対象となります。疾患や障害の有無は関係ありません。要介護状態となれば介護保険の対象者として要介護認定を受けることができます。

第二号被保険者

第二号被保険者は40歳以上65歳未満の医療保険加入者が対象となります。ただし、第二号被保険者は16種類の特定疾患に該当する場合にのみ対象となります。たとえ要介護状態になったとしても、特定疾患に該当しなければ対象者として該当しませんので注意が必要です。16種類の特定疾患については以下の通りです。

  1. 末期がん
  2. 筋萎縮性側索硬化症
  3. 後縦靭帯骨化症
  4. 骨折を伴う骨粗しょう症
  5. 多系統萎縮症
  6. 初老期における認知症
  7. 脊髄小脳変性症
  8. 脊柱管狭窄症
  9. 早老症
  10. 糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症及び糖尿病性網膜症
  11. 脳血管疾患
  12. 進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症及びパーキンソン病
  13. 閉塞性動脈硬化症
  14. 関節リウマチ
  15. 慢性閉塞性肺疾患
  16. 両側の膝関節又は股関節に著しい変形を伴う変形性関節症

雇用保険の対象要件

雇用保険に加入対象者は以下の3つの条件に当てはまる方です。

  • 勤務開始時から最低31日間以上働く見込みがあること
  • 1週間あたり20時間以上働いていること
  • 学生ではないこと(例外あり)

※卒業見込証明書を有する者であって卒業前に就職し、卒業後も引き続き同一の事業主に勤務することが予定され、一般労働者と同様に勤務し得ると認められる場合は、雇用保険の加入対象者となります。また、通信教育、夜間、定時制の学生も雇用保険加入の対象者となります。

事業者が負担すべき保険と支払い条件

労災保険は全額起業負担となります。それでは対象要件を見てみましょう!

労災保険の対象要件

全ての労働者が対象で、労災保険における労働者とは、「職業の種類を問わず、事業に使用される者で、賃金を支払われる者」をいい、 労働者であればアルバイトやパートタイマー等の雇用形態は関係ありません。

社会保険の保険料の計算方法を徹底解説!

社会保険の保険料の計算方法の写真

ここからは社会保険の保険料の計算について解説していきます!

保険料の計算の前の準備

社会保険料計算の準備段階として、まずは「標準報酬月額」について理解する必要があります。標準報酬月額とは保険料の計算に必要となるもので、等級を決める際も標準報酬月額が基準となります。標準報酬月額は基本給やその他の報酬の合計金額です。降給があった場合は変更できる制度があります。保険料を多く払いすぎないためにもすぐ手続きをしましょう。

標準報酬月額の決め方

標準報酬月額を決めるタイミングは主に2つあり、「資格取得時決定」と「定時決定」です。

資格取得時決定

資格取得時決定とは、新しく従業員を雇用した際に標準報酬月額を決定することです。従業員が被保険者資格を取得した時点(入社日時点)の報酬を月額に換算した額が基準となります。

定時決定

定時決定は毎年1回、7月1日現在で事業所に在籍している被保険者の4〜6月分の平均報酬額を計算し、その年の標準報酬月額を決定することです。定時決定で決定した標準報酬月額は、その年の9月から翌年8月まで適用されます。

計算をする上での注意点

保険料率は保険の種類によって異なります。そのため、保険ごとに確認しておく必要があります。また、保険料率は定期的に変更されるため、最新の保険料率かどうかについても確認することが必要です。また、保険料額表が都道府県によって内容が異なる点にも注意が必要です。

保険料の計算方法

社会保険料率は社会保険料を計算するために必要な知識です。保険料率は保険の種類によって異なります。そのため、保険ごとに確認しておく必要があります。また、保険料率は何度も変更されるため、最新の保険料率かどうかについても確認することが必要です。

社会保険の保険料の計算方法を説明する表

健康保険の保険料の計算方法

健康保険料の従業員負担額は以下の計算式で算出できます。

「健康保険料(従業員負担額)=標準報酬月額×健康保険料率÷2」

健康保険料は企業と従業員で折半して負担するため、「 ÷ 2」をすることで、従業員の負担分を算出できます。

厚生年金保険の保険料の計算方法

厚生年金保険料の従業員負担額は以下の計算式で算出できます。

「厚生年金保険料(本人負担額)=標準報酬月額×18.300%÷2」

厚生年金保険料は企業と従業員で折半して負担するため、「 ÷ 2」をすることで、従業員の負担分を算出できます。

介護保険の保険料の計算方法

介護保険料の従業員負担額は以下の計算式で算出できます。

「介護保険料(本人負担額)=標準報酬月額×介護保険料率÷2」

介護保険料は企業と従業員で折半して負担するため、「 ÷ 2」をすることで、従業員の負担分を算出できます。

雇用保険の保険料の計算方法

雇用保険料の従業員負担額は以下の計算式で算出できます。

「賃金×0.3%=従業員負担分の雇用保険料」

(賃金×0.65%=会社負担分の雇用保険料)

(賃金×0.95%=雇用保険料(従業員負担分と会社負担分の合計))

雇用保険料は会社と労働者の負担する金額が異なります。

労災保険の保険料の計算方法

労災保険料は以下の計算式で算出できます。

「労災保険料=賃金×0.3%」

労災保険料は会社が全額負担します。そのため、「 ÷ 2」や計算を分けて行う必要はありません。

社会保険の保険料の納付について知るべきこと!

社会保険の保険料の納付の写真

この章では社会保険料の納付期限と納付方法について詳しく解説します!

社会保険の納付期限

保険料の納付期限は翌月の末日です。例えば4月分の納付期限は5月末です。期限までの支払いが確認できない場合は督促状が届きます。それでも、支払いが確認できない場合は財産調査の実施や延滞金が発生します。財産調査とは社会保険料を支払うことができるだけの財産がないのかを調査することです。

社会保険の納付方法

納付の方法は口座振替と金融機関の窓口、電子納付の3つです。口座振替だと自動で引き落としをしてくれるシステムがあるため、払い忘れを防ぐことができます。納付方法を変更したい場合は、健康保険厚生年金保険 保険料口座振替納付(変更)申出書を年金事務所へ提出が必要です。

社会保険の保険料とともに知るべき!社会保険料の控除とは?

社会保険の保険料の控除の写真

社会保険料控除とは、1月から12月に支払った社会保険料を、所得の金額から全額控除できる制度です。給与所得者はもちろん、個人事業主も控除を受けられます。また、生計を同じくする配偶者や親族の社会保険料を負担しているときは、その金額についても控除が受けられます。扶養者がいる場合は、その人の保険料までしっかりと控除を受けましょう。ここから控除の対象となる保険料や控除を受ける方法について解説します!

社会保険料の控除の対象保険料

健康保険料、年金保険料、後期高齢者医療保険料、雇用保険料、介護保険料、年金基金の掛金が控除の対象となる社会保険料です。

後期高齢者医療保険料は2種類の方法で徴収されており、それぞれで控除手続きの取り扱いが異なるため注意が必要です。一定以上の公的年金などの支給を受けている人は、後期高齢者医療制度の保険料が年金から天引きされる「特別徴収」という方法が適用されます。この場合は、社会保険料控除の対象外となるため、所得から差し引くことはできません。

そのため、特別徴収とならない場合は、社会保険料控除の対象となります。また、年金基金とは、老齢基礎年金に上乗せして保険料を支払い、将来受け取る年金額を増やす制度です。年金基金の制度は国民年金と厚生年金の両方にあり、支払った掛金については社会保険料控除が受けられます。

社会保険料の控除を受ける方法

給与所得者は、年末調整で社会保険料控除が受けられます。そのため、従業員自身が特別な手続きをする必要はありません。雇用者側は、従業員の給与から天引きしている社会保険料の金額をしっかりと管理しておくことが必要です。個人事業主の場合は、確定申告の際に社会保険料控除が受けられます。また、給与所得者であった場合でも、以下の場合は雇用者側が社会保険料を把握できないため、従業員自身に確定申告を行ってもらう必要があります。

  1. 年収が2,000万円を超える人
  2. 副業で年間20万円以上稼いでいる人
  3. 会社の役員などで、貸付金の利子や資産の賃貸料などを受け取っている人
  4. 災害減免法によって源泉徴収の猶予などを受けている人
  5. 源泉徴収義務のない者から給与等の支払を受けている人
  6. 退職所得の税額が源泉徴収された金額よりも多くなる人

従業員のなかに上記に当てはまる人がいる場合は、確定申告するように伝えましょう。

社会保険の保険料とともに知るべき!社会保険料の免除とは?

社会保険の保険料の免除の写真

社会保険料は、控除とは別に免除制度があります。この制度を利用することで保険料を免除されることがあるのでしっかりチェックしましょう。

社会保険料の免除の対象保険料

「健康保険」と「厚生年金保険」の保険料は、被保険者が育児休業の期間中に事業主が年金事務所に申し出ることにより被保険者・事業主の両方の負担が免除されます。

社会保険料の免除を受けられるシーン

社会保険料が免除されるケースとしては、

  1. 産前産後休業期間中
  2. 育児休業期間中

上記の2つが考えられます。

会計士による社会保険の保険料に関するワンポイントアドバイス!

公認会計士の写真

これまで見てきた通り、社会保険料にはさまざまな種類があり、それぞれ計算方法も異なります。毎月の給与計算では従業員から天引きする社会保険料を計算する必要がありますが、ご自身で行うとなると非常に大変です。計算ロジックや料率などは定期的に更新されますので、ご自身で保険料を計算する場合には常に最新の情報かどうかを忘れずに確認するようにしましょう。

まとめ

最後までお読みいただき、ありがとうございました!かなりボリュームの多い記事となりましたが、皆さんの社会保険の保険料に関する疑問や不安の解消に少しでもお役に立てば幸いです。

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