【会計士監修】会社立ち上げに必要な費用とは?どうすれば節約できる?
監修:
お役立ちコラム編集部
この記事は以下のような人におすすめ!
- 株式会社や合同会社の違いについて知りたい
- 株式会社や合同会社立ち上げの費用について知りたい
- 株式会社や合同会社のメリットやデメリットについて知りたい
ご自身に必要なポイントだけ読めばOKです。それでは早速、読んでいきましょう!
※ 記事内容は執筆時点のものです。必要に応じて最新の情報をご確認ください。
これから会社設立を検討している方は、以下の記事もぜひ参考にしてみてください。以下の記事では、株式会社と合同会社の設立費用の違いについて詳しく解説しています。これから会社設立を行おうと考えている方や、株式会社と合同会社どちらの形態で会社設立をするか迷っている方にはピッタリの内容ですので、ぜひあわせてご覧ください。
株式会社と合同会社の設立費用に関するおすすめ記事
目次
会社立ち上げの費用の前に知りたい!会社の種類とは?
まず、会社立ち上げに必要な費用について考える前に会社の種類について知っておく必要があります。ここでは、一般的な会社の種類である株式会社と合同会社について説明したいと思います。
株式会社
株式会社とは、株式(会社にお金を出資したことを証明するもの)を発行して、代わりにお金をもらい、そのお金を用いて経営を行っていく会社となります。皆さんが一番聞き馴染みのある会社形態かと思います。株主(株式を持っている人)は以下の権利が与えられます。
- 会社が利益を上げた時に配分された配当を受け取れる
- 会社の経営について株主総会を通して影響力を行使できる
株式会社のメリット
株式会社のメリットはどのようなものがあるのでしょうか。以下では株式会社立ち上げのメリットを解説していきます。
株式会社のメリットは大きく3点あります。
- 資金調達が行いやすい
- 社会的信用を得やすい
- 事業承継が行いやすい
資金調達がしやすい
会社として事業を行っていくには、お金が必要です。自分一人で会社運営をしていくなら、最低限の生活費を稼げれば良いかもしれませんが、従業員を雇ったり、大きな設備投資をしようとするとそうもいきません。
多額のお金が必要となった場合は、株式を使った資金調達でお金を集めることが出来ます。新たに株式を発行して、繋がりのある方にそれを買ってもらう第三者割当増資や、株式を公開(IPO)して株式市場から資金を調達する方法があります。調達した資金は原則返す必要はありませんので、会社に一定のお金を確保し続けることができます。また、出資者である株主は有限責任であり、出資額を超える責任は負わないことになります。出資者としても出資をしやすい点もメリットになります。
社会的信用が得やすい
株式会社は一般的に知名度や社会的信用度が高いと言われています。皆さんもよく聞く法人形態は株式会社なのではないでしょうか?
普段の生活で名前をよく聞く大企業は一般的に株式会社ですので、例えば求人を出したときにも応募者から見ると一定の安心感があります。人材採用や取引先と取引を行っていく上で、株式会社であることは有利なポイントです。
事業承継が行いやすい
株式会社は事業承継(事業の引き継ぎ)がしやすいというメリットがあります。
例えば複数いる株主の中のAさんがBさんに会社の権利を渡したいので、代わりに会社の資産である10階建てビルの1Fだけ渡すということは出来ないですよね。株式があれば、株式の保有数に応じて、その会社の所有権を表し、株主の権利を明確にすることができます。その株式をAさんからBさんに譲渡・売却するということで簡単に事業承継することができます。
株式会社のデメリット
一方で株式会社にもデメリットはあります。以下では株式会社立ち上げのデメリットについて解説していきます。
- 株主の意向が経営に影響を及ぼす
- 会社立ち上げに多くの費用がかかる
- 決算公告をしなければいけない
- 税務や社会保険の手続きが複雑
- 利益がなくても法人住民税を払う必要がある
株主の意向が経営に影響を及ぼす
株主は株主総会などで、株式の保有比率の割合に応じて経営に影響力を行使することができます。株式会社で何かを決める時は基本的に多数決で進めていきます。自分が一生懸命に働いて設立して代表を務める会社だとしても、自分の株式の保有数が50%を下回ってしまうと意思決定の際に多数決で負けてしまい、最悪の場合は経営者が解任されるということもあります。
会社の立ち上げに多くの費用がかかる
個人事業主は開業する時に費用は必要ありませんが、株式会社の設立時には定款認証や登記の費用を含め25万~30万程度がかかります。設立後も役員の変更等の運営にかかる費用や手間が度々発生します。
決算公告をしなければいけない
株式会社には経営状況や財務状況を公開する為の決算公告という義務があります。会社の売上や役員の報酬など、不特定多数の人に知られたくない場合はデメリットになるでしょう。ちなみに、合同会社には決算公告の義務はありません。
税務や社会保険の手続きが複雑
会社を設立すると基本的には社会保険に加入する必要があり、会社が従業員の為に負担する費用もあるなど、社会保険料の負担が大きくなります。個人事業主に比べて事務手続きも増え、その内容も複雑なものになります。
利益がなくても法人住民税を払う必要がある
会社が赤字でも、年間で最低7万円の法人住民税を納税しなければなりません。その点、個人事業主に法人住民税はかかりません。
株式会社設立が向いているシーン
詳細条件によっても異なりますが、ざっくり売上から費用を引いた額が700万円を超えてきたあたりから、株式会社にした方が税金面から良いかと思います。売上が伸びている個人事業主の方は是非計算してみてください。
合同会社
日本における4つの会社形態の1つである合同会社は、2006年施行の会社法で導入された比較的新しく設けられた会社形態で、アメリカのLLC(Limited Liability Company)をモデルとしています。
合同会社では経営者と出資者が同じであり、この点が株式会社との大きな違いです。また、出資者全員が有限責任社員であることも、合同会社の大きな特徴です。
なお、合同会社では役員のことを「社員」といいます。一般的には社員といったら従業員のことを思い浮かべるかと思いますが、合同会社では役員のことを指します。
合同会社のメリット
先ほどは株式会社のメリットについて説明しましたが、合同会社はどのようなメリットがあるのでしょうか。以下では合同会社立ち上げのメリットを解説していきます。
合同会社のメリットは大きく5点あります。
- 会社の立ち上げ費用が安い
- 決算公告が不要
- 役員任期の設定が不要
- 剰余金分配の制限がない
- 社員は有限責任
会社の立ち上げ費用が安い
最大のメリットは設立費用の安さです。株式会社設立に際して納めなければならない一律の税金や手数料が約20万円であるのに対して、合同会社は最少で約6万円と3分の1以下で済みます。初期費用を抑えて事業を始められます。
決算公告が不要
株式会社では決算公告を毎年必ず行う必要があります。決算公告とは、経営状況や財務状況を公開する為の制度です。
比較的掲載料が安いといわれる官報(官公庁が出す掲示物)で、一般的な会社が決算公告を掲載する際に必要な料金は約6万円ですが、これが不要となります。
役員任期の設定が不要
株式会社では、取締役と監査役の任期が取締役は原則2年、監査役は4年と定められています。延長するには定款への記載が必要で、それぞれ10年まで延ばすことができます。
一方で合同会社は役員の任期を設ける必要がないため、役員改選でかかる手間と費用を削減することができます。
お役立ちコラム編集部
合同会社のメリットは、以下の記事でも解説しています!これかさらに合同会社のメリットについて知りたい方は、以下の記事もあわせて参考にしてみてください!
剰余金分配の制限がない
株式会社では、剰余金(会社のもうけ)の配当を行おうとする際には、毎回株主総会の決議を経て内容を決めなければならないという制約があります。また、配当比率は出資比率と同じでなければなりません。
合同会社ではこれを自由に定款で決めることができます。つまり、社員である出資者の業績に見合った配当を、出資比率とは別に行うことができます。
また、株式会社のように度々株主総会の決議を経る必要がないため、スピーディに意思決定を行うことができるのも合同会社のメリットです。
社員は有限責任
有限責任とは会社が負債を抱えた場合や倒産した場合でも、自身が責任を負わなければならないのは出資した金額までで良いということです。
ここまでの合同会社のメリットを見て、合同会社として会社設立を行おうと思っている方は、以下の記事もあわせて参考にしてみてください。こちらの記事では、合同会社の作り方を中心に、流れと手順や設立費用についても解説しています。これから「合同会社」として会社設立を検討している方は、ぜひ以下の記事もあわせて参考にしてみてください。
合同会社の設立に関する参考記事
合同会社のデメリット
もちろん合同会社にも株式会社同様デメリットがあります。合同会社のデメリットには以下のようなものが挙げられます。
- 社会的信用を得にくい
- 出資者全員が業務執行権を持つ
- 事業承継が行いにくい
- 税務や社会保険の手続きが複雑
- 利益がなくても法人住民税を払う必要がある
社会的信用を得にくい
合同会社は以前に比べて認知度が上がってきたとはいえ、まだまだ株式会社には劣ります。取引先等にマイナスの印象を与える場合もあり、取引をしてもらえなかったり、採用時に良い人材を確保できないといった可能性もあります。
出資者全員が業務執行権を持つ
合同会社では、社員(株式会社でいう社員とは異なり合同会社への出資者のこと)全員が同等の決定権を持っているため、社員間の意見の対立で意思決定が進まず、経営に支障が出る可能性があります。
事業承継が行いにくい
合同会社の社員は、他の社員全員の同意によってその持分の一部又は全部を譲渡することが可能となるので、一人でも反対者がいると譲渡ができません。
税務や社会保険の手続きが複雑
会社を設立すると基本的には社会保険に加入する必要があり、会社が従業員の為に負担する費用もあるなど、社会保険料の負担が大きくなります。
個人事業主に比べ事務手続きも増え、その内容も複雑なものになります。
利益がなくても法人住民税を払う必要がある
会社が赤字でも、年間で最低7万円の法人住民税を納税しなければなりません。その点、個人事業主に法人住民税はかかりません。
合同会社設立が向いているシーン
以下の項目が当てはまる人は合同会社の設立を考えても良いかもしれません。
- 設立の費用を最小限に抑えたい
- 会社規模を大きくしていく予定がない
- 一般消費者向けサービスを行う予定
株式会社と合同会社の違い
株式会社と合同会社の違いは、ざっくり言うと設立費用と意思決定の方法です。それぞれの特徴をまとめると以下のとおりです。
株式会社と合同会社の違いについては、以下の記事でも詳しく解説しています。株式会社と合同会社の違いや、それぞれのメリット・デメリットの違いについて知りたい方は、以下の記事もあわせて参考にしてみてください。
合わせて読みたい「株式会社と合同会社の違い」に関するおすすめ記事
株式会社と合同会社の違いとは?それぞれのメリット・デメリットも解説
【株式会社編】会社の立ち上げに必要な費用とは?
株式会社立ち上げに必要な費用の総額は約25万円です。費用の内訳は実費(法定費用)、資本金、その他の立ち上げ費用に分類され、このあと詳しく説明していきます。
実費(法定費用)
役所に必ず納めなければいけない法定費用のことで242,000円かかります。この内、4万円は定款に貼る収入印紙代なので、電子定款で法人設立を行えば、費用は202,000円になります。
内訳は以下のようになります。
定款用の収入印紙代
定款を作成する際に貼る収入印紙の代金で金額は4万円です。電子定款で申請した場合は不要となります。
定款の認証手数料
公証役場での認証に対して納める手数料で金額は5万円です。ただし、資本金の額等が100万円未満の場合「3万円」、資本金の額等が100万円以上300万円未満の場合「4万円」、その他の場合「5万円」となります。
定款の謄本手数料
謄本を交付してもらうに為に納める手数料で金額は2,000円です。
登録免許税
法人の登録をするにあたって法務局に納める税金で、金額は15万円です。ただし、登記費用については資本金額が約2,140万円を超える場合は15万円以上かかります。
※資本金の0.7%の金額と比較し、その金額が15万円を超えていればそちらの金額が必要となります。
資本金
会社を運営していく上で元手となるお金で、売上が出てくるまでは、基本的にこの資本金を使って会社運営をしていきます。
旧制度では株式会社では資本金1,000万円を用意しなくてはいけませんでしたが、現在は1円でも設立が可能です。
その他の立ち上げ費用
シェアオフィス等の事務所代や、通信費を除く、法的に会社の立ち上げに直接関わる費用を以下でご説明します。
実印作成費用
法人で行う契約書の作成や役所書類の手続きで必要な印鑑で、「代表印(実印または丸印とも呼ばれます。)」、組織の認印となる「角印」、銀行の口座に使用する「銀行印」が基本の3本セットです。作成費用は安いもので3,000円程度で、素材により大きく値段が変わります。
登記簿謄本発行費用
銀行口座やクレジットカードの作成に必要な登記簿謄本を法務局に発行してもらう為の費用です。費用は1通500円程度です。
印鑑証明取得費用
法人設立時に必要な個人の印鑑証明取得費用です。費用は1通300円程度です。
【合同会社編】会社の立ち上げに必要な費用とは?
合同会社の立ち上げに必要な費用の総額は約11万円です。費用の内訳は実費(法定費用)、資本金、その他の立ち上げ費用に分類され、このあと詳しく説明していきます。
実費(法定費用)
役所に必ず納めなければいけない法定費用のことです。10万円の内、4万円は定款に貼る収入印紙代なので、電子定款で法人設立を行えば、費用は6万円になります。
定款用の収入印紙代
定款用収入印紙代とは、定款の作成に必要な税金です。費用は4万円で、電子定款で申請を行えば不要です。
登録免許税
法人の登録をするにあたって法務局に納める税金で、金額は6万円です。ただし、登記費用については資本金額が約857万円を超える場合は6万円以上かかります。
※資本金の0.7%の金額と比較し、その金額が6万円を超えていればそちらの金額が必要となります。
資本金
会社を運営していく上で、元手となるお金で売上が出てくるまでは、基本的にこの資本金を使って会社運営をしていきます。
その他の立ち上げ費用
シェアオフィス等の事務所代や、通信費を除く、法的に会社設立に直接関わる費用を以下でご説明します。(株式会社の場合と同様です。)
実印作成費用
法人で行う契約書の作成や役所書類の手続きで必要な印鑑で、「代表印(実印または丸印とも呼ばれます。)」、組織の認印となる「角印」、銀行の口座に使用する「銀行印」が基本の3本セットです。作成費用は安いもので3,000円程度で、素材により大きく値段が変わります。
登記簿謄本発行費用
銀行口座やクレジットカードの作成に必要な登記簿謄本を法務局に発行してもらう為の費用です。費用は1通500円程度です。
印鑑証明取得費用
法人設立時に必要な個人の印鑑証明取得費用です。費用は1通300円程度です。
株式会社と合同会社の立ち上げに必要な費用の違いとは?
設立費用を比べると合同会社の方が安いので、初期費用を抑えたいという方は合同会社がオススメです。
※ 資本金の額等が100万円未満の場合は「3万円」、資本金の額等が100万円以上300万円未満の場合は「4万円」、その他の場合は「5万円」となります。
会社立ち上げ手続きを代行するときの費用とは?
会社立ち上げはfreee会社設立やMoney Forwardクラウド会社設立を使えば、電子定款で申請が可能で、またサービス利用料も不要なので、安く会社設立が可能です。
一方で、自身で入力等を行わないといけないので、忙しくて手続きが出来ない方や多少お金が掛かっても、全部やって欲しいという方は代行をお願いするのも良い選択肢なのではないでしょうか?
会計士による会社立ち上げの費用に関するワンポイントアドバイス!
どのような形態で会社を立ち上げるかに関しては、重視するものによって結論が異なります。
今後他人からの出資を受けることを考えておらず、設立費用を抑えたいのであれば合同会社の方が運営しやすいといえますが、一概にどちらが良いとは言えません。状況に合わせて判断しましょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか?会社立ち上げ時に必要な費用についてイメージはつきましたか?この記事が皆さんのこれからの会社設立の一助になれば幸いです。最後までお読みいただき、ありがとうございました。